糖尿病から腎不全~増え続ける透析医療

日本透析医学会が2014年末に発表した透析患者の速報値は前年より4950人程増えて、31万9388人でした。

1984年頃から毎年1万人ペースで増え続けてきた事を考えると、やや減少傾向にあります。

しかし、最近の透析医療の大きな特徴は、患者の平均年齢がどんどん高齢化していることです。

30年前には50歳未満だった平均年齢が現在では69歳ですから20歳近くも高くなっているわけです。

糖尿病から腎不全

これは医療界全体にいえることですが、透析医療も典型的な高齢者医療になりつつあり、そこで問題になってくるのが、高齢者は糖尿病や高血圧などの他の疾患を併せ持っている事が多いという事実です。

最近は糖尿病から腎不全に至る患者が増えていて予備軍を合わせると2200万人とも言われています。

つまり、誰しも透析医療のお世話になる可能性があるという事、決して他人事ではないという事です。

糖尿病の3大合併症は神経障害、網膜症、腎症なのです。

血糖値が高い状態が長期間続くことで腎機能が低下し、「糖尿病性腎症」になります。

この患者数は年々増加しており、今や透析導入患者の半数が糖尿病性腎症が原因で透析を始めるまでになってしまいました。

透析医療機関側も単に透析治療だけではなく外科、内科、整形外科、眼科など一見透析とは無関係に思われるいろいろな分野の医師と連携を取らざるを得なくなってきています。

医療機関

慢性腎不全と急性腎不全

腎臓の病気は大きく2つに分けることが出来ます。

腎炎や腎不全などの腎臓内科で扱う病気と、腎癌や腎結石などの泌尿器科で診てもらう病気です。

腎不全には腎機能が数時間から数日のうちに低下する「急性腎不全」と、数か月から数年をかけて徐々に低下していく「慢性腎不全」があります。

慢性腎不全は現在の医療では完治できず、その大半は「末期腎不全」へと進行してしまいます。適切な治療、食習慣、生活習慣の改善を図り、そこに至るまでの道程をなるべく延ばす努力が必要です。

急性腎不全は薬剤の副作用、具体的には解熱鎮痛薬、抗生物質、抗菌薬、造影剤、抗がん剤などの医薬品の使用で起こるものや、怪我などの多量出血による急激な低血圧などが原因で引き起こされます。

早急に原因と思われるものを除去し、腎不全により破綻した体内の内部環境を維持することで回復する可能性があります。

透析医療に頼るベストなタイミング

腎臓の機能が正常の30%以下になり、体内の老廃物をうまく排出できない場合、透析医療に頼ることになります。

慢性腎不全と診断されても人によっては末期になるまで症状が現れないことも多く、加えて透析の負のイメージもあって、たとえ医師から「そろそろ透析治療を始めましょう」と言われても踏み切れず、つい一日延ばしにしてしまいます。

もっともな事ですが、検査データと症状から総合的に判断してくれる信頼のおける医師がいればその指示に従うべきです。

先に述べたように放っておけば心不全や尿毒症を伴う末期の腎不全へと進行するスピードを速めてしまうでしょう。

日本の透析技術は世界でもトップレベルです。保険の改正によって自己負担もかなり軽減しました。

従来のように週に何回もの通院を必要としない方法や夜寝ている間に行う方法さえあります。

どんな治療法があって、それを自分が利用することが出来るかなどの情報を集め準備をしておくことで選択肢が増え、自らの負担も減らすことが可能なのです。

診断

腹膜透析

腹膜透析(Peritoneal Dialysis=PD)とはその名の通り自分の腹膜を使って体内の老廃物である尿毒素を除く方法です。

幼児から高齢者までほとんどの人が導入できます。

特に心臓への負担や血液の変動が大きい高齢者には最適の治療法です。

事前に腹膜に透析液を注入するためのカテーテル(細いチューブ)を埋め込む1時間ほどの手術が必要です。

その後は日々、自分で行う3~5回の透析液交換(バッグ交換)を必要とします。

バッグの交換作業や出口部のケア食事、入浴の仕方などの基本的作業を覚える必要がありますがそれほど難しいものではありません。

但し、在宅での治療が基本ですから衛生面の問題、出口部の清潔や感染症の予防などに責任を持たなくてはいけません。頻繁に腹膜炎を起こすようなことになれば腹膜そのものの機能が低下してしまいます。

腹膜透析が認可されてすでに20年以上経っていますが普及率は全体の3.4%にあたる約1万人前後。欧米の普及率20~30%と比べて圧倒的に低いのがわかります。

これは医療側、患者側相互に腹膜治療が正しく理解されて来なかったことが原因です。

先行して行われていた血液透析のイメージが強すぎたうえに患者が自由に透析の方法を選ぶという風土もできていませんでした。

自己管理が要求される腹膜透析ですが在宅で行えるうえ、透析後の血圧変動も少なく身体への負担も少ないことなどから十分メリットが感じられる治療法です。

血液透析

全国29万人の人工透析患者の97%が血液透析(Hemodialysis=HD)です。

患者は週に2~3回透析を行う施設に通いダイアライザーと呼ばれる人工腎臓で老廃物や余計な水分を抱え込んでしまった血液を4~5時間かけて浄化します。

手術によって手首近くにある動脈と静脈をつなぎ合わせた太い静脈(シャント)を作ります。

シャントから血液を体外に取り出し、ダイアライザーで浄化して、また体内に戻す。基本的にはその繰り返しです。

腹膜透析のように自分や家族で管理する方法は不安、面倒だという人は治療スタッフがすべて行ってくれる血液透析がお勧めです。

保険から年間数百万円もの医療費が支払われる透析患者は医療機関にとってまさに金の卵、きっと大切に扱ってくれるはずです。

血液透析のデメリット

透析中の時間的拘束というデメリットはもちろん、毎回血液を取り出す際にシャントに針をさすため、それ自体のストレス、透析中も頭痛、吐き気、かゆみなどに悩まれることがあります。

シャントは血液透析患者の生命綱ともいえるものです。利き腕でないことが望ましいのですが、日常生活でも重たいものを持たない、寝るときもシャントを身体の下にしないなどの管理が重要です。

併用療法

透析治療は酸化ストレスとのせめぎ合いでもあります。体外に出た血液は常にチューブやダイアライザー、カテーテルなどの異物(非自己)と触れざるを得ません。

これらが身体の炎症作用や酸化ストレスを起こし、ひいては腹膜炎や動脈硬化などの合併症につながることは容易に想像できます。

まず、腎機能が許すのであれば腹膜透析、腎機能が弱まってしまってから血液透析に切り替えるという選択肢を模索してみてはいかがでしょうか?

例えば併用療法という選択肢もあります。腹膜透析を続けながら一週間に一回の血液透析から始めてみるのです。

これで週に2日、腹膜を休養させることが出来る上、腹膜の機能低下を遅らせることが出来ます。

併用療法にも保険が認められるようになりました。

スポンサーリンク
レクタングル広告
レクタングル広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル広告