アスペルガー症候群は治療によって治す病気ではない

アスペルガー症候群と高機能自閉症の違いとは

自閉症の中でも知的発達の遅れがないタイプを高機能自閉症といいますが、知能は正常でも言葉の遅れが見られるのが特徴です。

一方、知能の遅れがなく、言葉の遅れも見られないのに、自閉症と同様の対人関係の問題を持つものを「アスペルガー症候群」といいます。

ウィーン大学小児科病院で精神障害や身体障害の児童のための治療部門を取り仕切っていたハンス・アスペルガーに因んでいます。

彼は自閉症児の中に驚くべき才能を持って生まれた子供がいることを理解していました。

アスペルガー症候群

1944年にドイツ語で発表されたその研究は全く注目されず、40年後の1980年代になってようやく人々に知られるようになってきました。

それ以後、アスペルガー症候群と診断される児童の数は増え続けていますし、最近では大人になってから、アスペルガー症候群と診断される例も増えています。

アスペルガー症候群も高機能自閉症もその特性がよく似ているため、この二つを厳密に区別する基準が医学界でも統一されていません。

次々に出てくる新種の精神障害

今や、これらの症候群以外にも衝動調節障害や人格障害、社会的機能遂行障害など新種の精神障害が次々に報告される”障害ラッシュ”状態が続いています。

日常生活の多くを医療に取り込もうとする風潮に対して、良心的な医師はこう思っています。

「単なる恥ずかしがり屋と社会不安障害の境界線は一体どこにあるのか?」

「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などの高価な治療薬を使うのでなければこれほど多くの”障害”が報告されなかったのでは?」

精神科にかかる診察者の7割近くに何らかの発達障害が

ある調査によると、精神科にかかる診察者の7割近くに何らかの発達障害が疑われると言われていますが、こうした人々は、知的発達の遅れがほとんどないために周りはもちろん、家族にさえ気づかれない事があります。

自閉症やアスペルガー症候群は発達障害であって治療によって治すという病気ではありません。

先程、アスペルガー症候群と高機能自閉症を厳密に区別する基準が医学界でも統一されていない、と言いましたが、アメリカの精神医学会が作成するDSM(精神障害診断と統計の手引き)と呼ばれる診断基準からは2013年にこの病名が取り除かれています。

つまり、「アスペルガー症候群」という病名はない、ということです。

もっとも「自閉スペクトラム症」という診断名に統合されましたから、そちらの可能性を考える必要は消えていないのですが・・・。

スペクトラムとは太陽光の”スペクトル”のように境界が曖昧で連続的に変化している状態を指します。

ロンドン大学精神医学研究所のローナ・ウィングはBMJ(British Medical Journal:イギリス医師会雑誌)の中で自閉症スペクトラムについて

「自閉症スペクトラムには、共通して3つの欠陥がみられる。社会的相互作用の欠如、コミュニケーションの欠如、及び想像力の欠如であり、非可朔的な反復行動パターンを伴う」

と述べています。

アスペルガー症候群とは

顔によって他者を認識するのが困難

このような子供は社会性や想像力が乏しくとも、他の才能(例えば記憶力や集中力)が突出している例も少なくありません。

優れた音楽家であったモーツァルトがアスペルガー症候群に該当した、という報告があったほどです。

イエール大学の研究者たちが自閉症とアスペルガー症候群の患者の脳組織を調査した結果明らかになったのは、患者たちは人間の顔を「物体」のように知覚しているということであり、したがって顔によって他者を認識するのが困難であるということです。

自閉症では子どもたちは社会的に引きこもりますが、アスペルガー症候群の子どもたちは通常、社会との接触を望んでいます。

他人の顔を認識できない。当然、年齢や性別、怒っているか笑っているかなどの感情的な状態を読み取ることが困難なこれらの患者たちが人間集団の中に上手く溶け込んでいく事の難しさはここにあると言えるでしょう。

そうした特性や才能は子供が生まれ持った個性として捉え、その特性にあった対応を周りがとることで、子供が感じる生きづらさを軽減できるのではないでしょうか。

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アスペルガー症候群かな?と思ったら・・。

対人関係や社会性をみるポイント

  • 他人と視線を合わせない
  • 呼ばれても返事や反応をしない
  • 話しかけられても関心や興味を示さない
  • 集団になじめず、孤立する
  • 一人で遊んでばかりいる
  • 友達に自分のおもちゃを見せない
  • マイペースな行動が目立つ

 思い当たる事が多いときは早めに受診しましょう

(児童相談所)

各自治体に設置してあります。18歳未満の子供に関する様々な相談に応じてくれます。教育や生活全般、子供の発達状況や障害に関する相談や悩み等も幅広く対応しています。

 (発達障害者支援センター)

発達障害児(者)への支援を総合的に行う専門機関です。医療、教育、福祉などの関係機関と連携してさまざまな相談に応じ、助言と指導を行っています。

 (保健・医療機関)

地域の保健所や保健センターで子供の発達の相談に乗ってくれます。乳幼児期だけでなく、学童期でも相談できます。

医療機関では小児神経科や児童精神化が専門ですが、近くで見つからない時はまず、小児科に相談するのが良いでしょう。

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