蚊が媒介する感染症(デング熱、マラリア、日本脳炎、フィラリア)から身を守るために

蚊ほど迷惑な存在もありません。寝室に一匹でも紛れ込んだ日には、その執拗な攻撃に何時間も眠りを妨げられますし、刺されればかゆくて一気に眠気もさらわれます。

その上、しばしばタチの悪い爆弾を抱えてもいます。

爆弾

マラリア、デング熱、ジカ熱、西ナイル熱ウィルス、フィラリア症、ウィルス性脳炎、黄熱病・・・etc、彼らは病原体の運び屋なのです。

”蚊”はもっとも強力に進化した種のひとつ

蚊はもっとも強力に進化した種の一つで、人間が産業科学のすべてを導入して蚊を根絶しようと試みてきましたが、その成果は一向に上がっていません。

蚊などの昆虫を根絶やしにする目的で開発されたDDTなどの有機塩素系殺虫剤は、環境中での残留性が極めて高く発癌性、変異原性が高い上、DDT耐性を持つ蚊を生み出すという結果に終わってしまいました。

”蚊”を征服することは”自然”を征服することと同じくらい困難なことなのです。

地球温暖化の悪影響

温暖化の影響で蚊の生息域は年々拡大しており、加えて蚊が輸送機関に便乗して移動してしまう事も決して珍しい事ではありません。

ほとんどの蚊の生息範囲は1.5㎞ほどですが、その生涯を通じての飛行距離は200㎞を超え、一匹のメスがその短い一生で1000個~3000個の卵を産みます。

中には寿命が5~6ヶ月もある蚊、冬眠する蚊、卵の状態で砂漠や極寒地方を長期間、時には干ばつを何十時間生き抜くような種類もいます。

齢を重ねた蚊ほど、何らかの病原体を潜ませている可能性が高く、例えばサルから鳥、鳥から人へと様々な生物の血を吸っていくことで感染症を広げていく恐れがあるのです。

デング熱

今年も心配なのがデング熱です。

1970年当時は9カ国で発症例が報告されただけでしたが、現在では60カ国で報告例があります。

デング熱の媒体となるのはネッタイシマカやヒトスジシマカですが、ヒトスジシマカの食欲や交尾の習性は群を抜いています。小さな水溜りがあればどこでも繁殖します。

日本のデング熱はヒトスジシマカがウィルスを媒介しましたが、流行地ではネッタイシマカが人への感染に重要な役割を果たしています。

日本のデング熱騒ぎが局所的で収束しているのは日本にはほとんどネッタイシマカが居ない為(琉球諸島と小笠原諸島で確認されています)であり、もし温暖化の影響等によって本州でもネッタイシマカが生息できる環境になれば大流行するかも知れません。

デング熱は骨や関節に鋭い痛みを伴い、「Break Bone Fever」という別名があるほどです。

デング熱には大きく4種類がありますが、死に至る可能性が高いのがデング出血熱です。デング熱に再感染した場合のみ発症します。

デング出血熱の症状は循環障害による肝臓の腫れや、出血時に血を止める働きの血小板の数が著しく減少するために起こる全身の出血傾向(鼻血、吐血、血尿、下血)、血圧の低下による意識混濁などのショック症状に陥ります。

wisestory…デング熱とデング出血熱の違い

毎年、世界中で数千万件のデング熱発症と数十万件のデング出血熱の発症例が報告されていますが、どの国でもデング出血熱の致死率は5%前後で、ほとんどが幼い子ども達です。

マラリア

マラリアは蚊が媒体となる感染症のなかで最も致死率の高い感染症で、毎年3~5億人が感染し、100万人以上の人々の生命を奪っています。

過去、日本各地にも感染例があり、「かわらやみ」「おこり」などと呼ばれていました。

1959年以降、国内での感染の発生はなく、日本のマラリア患者はすべて国外で感染したものです。

しかし、マラリアを媒介する蚊は日本にもいて(シナハマダラ蚊・コガタハマダラ蚊)、特にシナハマダラ蚊は日本全国に広く分布しています。

温暖化によってマラリア流行地域が拡大する懸念や海外旅行者、日本にやって来る外国人の増加なども感染拡大の危険要因となりえます。

マラリア原虫は体内に入ると肝細胞や赤血球内で増殖し、重症例では激しい震えを伴う悪寒と40度を超える高熱とが交互に訪れ、最悪の場合ひどい倦怠感に襲われ精神錯乱状態を経て昏睡状態に陥り死に至ります。

マラリア原虫は脳をはじめとする生命維持に不可欠な臓器への酸素供給を妨げ、血管系を詰まらせるためマラリアに冒された人の赤血球は粘り気を帯びたものに変わります。

地球上でマラリアの発生しなかった地域はありません。北極圏、氷点下の山頂、高温の砂漠地帯でさえマラリアは発生しています。

世界中のマラリアの発生件数は何億件という規模にのぼります。日本で大流行しないという保証はどこにもありません。

もし、気温が数度上昇し、ハマダラ蚊の生態が変化したら・・・、そしてアジアから帰国した発熱気味の人がハマダラ蚊に刺され、その蚊が他の何人かの人を刺してマラリアを感染させでもしたら、その危惧は現実のものになります。

日本脳炎

日本での発症件数は一年間に一桁程度ですが、アジアの国々では依然として患者の数も多く広がりを見せている感染症です。

日本脳炎ウィルスに感染しても多くの人は風邪のような症状だけで自然に回復しますし、九州地方のように日本脳炎ウィルスを持った蚊が多い地域では発症もせず、ほとんどの人が自然感染で日本脳炎の抗体を持っています。

本当に稀な場合にウィルスが増え続け血液中に流れ出して脳炎症状を起こしますが、いったん発病すると高熱、頭痛、吐き気などがあり、痙攣や意識がなくなるほどの重い症状を起こし生命にもかかわります。どういう場合に発症するのかはよく分かっていません。

1999年夏にアメリカ・ニューヨークで初めて見つかって大騒ぎになった西ナイル熱も、今後日本で流行しないという保証はありませんが、日本脳炎ウィルスと西ナイル熱ウィルスは近い種のウィルスであり、それぞれの住み分けがあるため日本脳炎の抵抗力がある日本や東南アジアといったエリアに西ナイル熱ウィルスが入ってきても定着しづらいのではないか、と考えられています。

今、そこにある危機

地球の温暖化、気候変動は確実に進んでいます。そして、まさに各地の平均気温の上昇によって病気を運ぶ蚊の生息域も確実に広がっています。

最近、ケニアの標高1600メートル地点で蚊の繁殖が初めて確認され、研究者を驚かせました。これまで、アフリカの高地は蚊が媒介する病気からの避難所という役割があったのです。

気候変動はこうした今までの事実や常識を覆そうとしています。

フィラリアやウィルス性脳炎にくわえて西ナイル熱ウィルスのような新たな病気も出現し、被害も広がっています。

蚊対策(蚊帳・虫除けスプレー)

蚊の駆除は一つの産業となっています。

遺伝子操作をはじめとした様々な、そして高コストな科学的手法が模索される一方で、低コストで簡単な手法も見直されるようになってきました。

その良い例が蚊帳です。

通気に工夫がなされたものや、人間には比較的安全性が高いとされるピレスロイド殺虫剤を糸に練りこんだものなど様々なタイプが販売されるようになってきました。

蚊を撃退

虫除けスプレーを作ってみる

多くの蚊除けグッズやスプレーには化学薬品のディート(DEET)という成分が使用されていますが、これは神経系統への損傷が確認されていますから多用はお勧めできません。

自分でもアロマオイルなどを使って簡単につくれますからチャレンジしてみて下さい。

水道水でも構いませんが、ペットボトルの水50㎖にエタノール5㎖を加えたものに虫よけ効果のあるアロマオイル、シトロネラ、レモングラス、ゼラニウム、ラベンダーなどを混ぜ合わせれば出来上がりです。

オイルの配合に決まりはありません。自分の好みで、どのオイルをどのくらい混ぜると一番効果的で、良い調合になるかを楽しんでください。

ただ、オイルの濃度があまり濃いと皮膚への刺激も強くなりますので、55㎖に対して5~6滴が目安です。

肌につけるのはお勧めしませんが、木酢の忌避効果もなかなかのものです。200倍程度に薄めて気になる場所や網戸にスプレーするのもいいでしょう。

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