人はなぜ病気になるのか?エピジェネティクス研究から考える

何故、私たちの身体はしばしば、時には長期にわたって疾病を招くのでしょうか?

症状

ストレス?日々の疲れ?遺伝子の故障?医療科学の世界では一般的な疾病の多くが原因不明とされ、身体が思いがけず故障したのだと考えられています。

現代医学は、ルイ・パスツールの「病原菌論」に基づいて多くの疾病の治療を行います。この学説によると疾病の原因は病原菌(細菌)なので、治療には抗生物質を使い、時にはステロイドも使用します。

「薬で治療する」という考え方から出発した医療界と、その方針を100%支持する製薬業界のコンビは世界でも最大規模のビジネスに成長しました。

もちろん、救急医療現場や急性疾患の患者に対して薬物投与は運命を左右する事柄であり、未熟児医療、骨折治療の現場などでも医師は多くのことを知っています。

しかし、薬があらゆる病を治すわけではないことも私たちは知りました。

疾病の原因解明に期待された遺伝子研究も、当初期待していたほどには成果を上げていません。

第二のゲノム

確かに、遺伝上の理由で発症する疾病もいくつかあります。サラセミア、ハンチントン病、嚢胞性線維症などがそうで、これらは遺伝性疾患とされています。しかし、単一遺伝子病が発症する割合は人口の2%以下です。

様々な癌遺伝子!日本人の死因の第一位を占める癌の発症メカニズムを特定できれば革命的な成果です。

例えば、乳がんの原因となる遺伝子は同定されています。発見した研究所が有頂天になったのは言うまでもありません。乳がんを”治療”する療法を開発すべく、BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子の特許を取得しました。

ところが、これらの欠陥遺伝子、200種類ある突然変異のうちの1つを持つ乳がんの女性は、乳がん全体のわずか5%です。残念ながら遺伝子研究もすべてを解明したというにはほど遠い状況なのです。加えて遺伝子が身体をコントロールすると証明する科学的事実は一つもありません。

人はなぜ病に罹るのか?

それまで健康だった人が、ある日突然こうした病に侵されるのはなぜでしょうか?欠陥遺伝子を持ちながら発症しない人もいるのに、なぜ特定の人が疾病に罹るのか?

そんな中、いま最も注目されている分野の1つにエピジェネティクスがあります。エピジェネティクスとはDNA配列の変化によらずに、遺伝子発現を活性化させたり不活性化させたりする仕組みの総称です。環境における明らかな変化が遺伝子発現スイッチを切り替える仕組みを研究しています。

これまで、生物学上の性質などは遺伝子が支配すると考えられてきましたが、エピジェネティクス研究が明らかにしたのは飢饉、テロ攻撃、戦争などのトラウマになるような出来事が遺伝子の発現に大きな影響を与えるという事です。

トラウマが起こると潜在意識の一部分が神経系の他の部分から分離します。分離する理由は、人がそのトラウマ的出来事を処理しなくても生存できるようにするためです。もちろん、いずれその出来事を解決しなくればならない時が来ることも潜在意識は知っています。

そして、潜在意識が適当だと考える時期に、そのトラウマにまつわる感情を表出させ、意識に再評価させるのです。これはトラウマ体験の後にやってくる遅延性ショックと呼ばれるものです。

この学説の根拠は神経言語プログラミング(NLP=Neuro Linguistic Programing)のマスタートレーナーであるタッド・ジェイムズ博士の教義にありますが、ゲシュタルト療法で言うところの“パート“という概念とも通じるものがあります。

ゲシュタルト療法はドイツの精神分析医であり心理療法家でもあるフレデリック・パールズ医師によって開発された、フロイト派精神分析に多方面で基礎をおく療法です。

“パート“はメンタルヘルス問題において広く浸透しつつある概念ですが、人の潜在意識の他の部分から完全に分離していて、人生、人格、信条などに対する独自の価値観を持っています。さらに“パート“はそれ自体が独立して身体全体や潜在意識をコントロールできると考えられています。

子供時代や人生の早期に不快な経験をして激しい感情が閉じ込められたり、間違った信条を持ってしまうと、その問題は解決されるべきものとして残ってしまいます。この閉じ込められた感情は解放される必要があるため、一連のパターンが始まります。

人はそのパターンに気付かず、その感情もコントロールできないと、何度も同じパターンとして現れます。その人の生涯を通じて何度も。

人は解決しなければならない問題と似た状況を人生に引き寄せます。まるで潜在意識が「さぁ、この問題を解決しなさい」と促すかのように。“パート“にはポジティブな意図が隠されているのかも知れません。

心と身体のつながりは全く疑いようのないものです。

米・デューク大学認知神経科学センター心理・脳科学部と脳画像・分析センターが共同で行った研究によるとPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者が恐ろしい記憶を再評価する時、その出来事が脳、とりわけ偏桃体と海馬という感情的記憶を処理する部位に現れます。

注目すべきはPTSD患者が深刻な心理的変化と共に、心疾患、呼吸器系・消化器系・生殖器系の疾患、糖尿病、関節炎などを抱えていることです。ストレスを感じたある出来事が脳の決まった部位に影響を与え、今度はそれが生物学的な理由によって特定の器官に影響を及ぼします。

ショックを受けた出来事によって身体的にも深刻な影響を受けていたのです。

脳画像技術によって脳の特定の部位とパーキンソン病特有の動作の間に直接的な繋がりがある事も判明しました。

この結果が示しているのは、ストレスを感じた出来事とある種の疾病の間には明瞭かつ証明可能な直接的つながりが存在しているということです。

この問題は発生学と共に考慮するとより理解しやすくなります。受精卵が子宮に着床して、50兆の細胞に分裂する過程の最初の30日間で、細胞は内胚葉、中胚葉、外胚葉という3種の層に分かれます。

各胚葉は様々な器官のある特定の部位を形成します。内胚葉由来には口から肛門までを結ぶ消化器系があり、肝実質、すい臓実質、肺胞もここに含まれます。

中胚葉に由来するのは皮革状の皮膚で、真皮と呼ばれ、身体を覆って保護します。骨格、横紋筋、腱、歯、なん骨、心膜、胸膜、腹膜、乳腺も中胚葉由来です。

外側にある外胚葉に由来するのは感覚器官です。鼻粘膜、気管支粘膜、喉頭粘膜、胆嚢管、胃粘膜、十二指腸粘膜、すい臓粘膜などがそうです。

要するに受精した一つの細胞から始まり、3種の胚葉に分化する時、各胚葉がそれぞれ神経系と脳の決められた部位に繋がります。

身体の各部分が発生学に基づいてそれぞれ脳と結びついているのなら、症状や異常が現れている器官をその観点で見てみれば、病気とストレスの間にある明らかなリンクに気付くはずです。

つまり、呼吸器系の疾患は他人からの攻撃に対する恐怖、消化器の異常は何かを奪われたことへの怒りや受容しがたい出来事、関節痛は辛い別離、生殖器の異常は深刻な喪失の感情とそれぞれ対応しているかも知れないのです。

病をはねかえす古来の処方

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