ドイツ薬草学の祖・ヒルデガルト療法の極意

ドイツ薬草学の祖 ヒルデガルト・フォン・ビンゲン

12世紀のドイツに生きた賢人、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen)はキリスト教ベネディクト会系の女子修道院長という聖職にありましたが、ドイツ薬草学の祖とも言われ、神から与えられたインスピレーションを基にした著述や、それら著述についての訳文、意見なども著し、他にも言語学者、作曲家、詩人などとしての肩書もあり、その活躍は”中世ヨーロッパ最高の賢女”と言われています。

彼女はその著書の中で多くの治療法や食事療法を推奨していますが、全体を貫くのは、少なくとも古代ギリシャ時代までさかのぼる4つの元素(火・空気・水・土)と4つの体液(黄胆汁質・多血質・粘液質・黒胆汁質)が世界を一つに結び付け、人体の構造をも形成していて、したがって人間の健康状態を左右するという考え方です。

ハーブ

4つの元素(火・空気・水・土)

その医療の基本的概念はしばしばアーユルヴェーダや中医学、東洋医学の知識にも共通するものがみられますし、後の西洋におけるハーブ療法にも少なからぬ影響を与えています。

利用されている物の多くはフェンネル、パセリ、ネトルなどのほとんどどこにでも見られる馴染みのハーブで、風邪にはゼラニウム、便秘にはオオバコ、黄疸にはアロエ、咳にはニガハッカなどと現代でも活用することのできる実際的で副作用の少ない多くの知識が紹介されています。

腫れ痛みは治癒反応

その”真の著者”とは

ヒルデガルトの最後の神学的著書になる「神の業の書(Liber Divinorum Operuma)」の中で彼女は、自らが書き上げた医療に関する書物が幻視によるものであったことを認め(それ以前にも彼女は5歳から始まったといわれる自らのスピリチュアル体験について対外的に語っていますが)、その”真の著者”についてこう述べています。

「私がこれまで著してきたきたことは、すべてもっぱら私に降りてきた神々しい幻影の源から受け取ったものである。」

「世界のいたるところに、神が明らかにしない限りは誰も知りえない不思議な治癒力を持つものがある。」註:樹木・植物・宝石などが治療の過程で使用される

これらヒルデガルトの著作物に触発され、そこに記載されている医学的知識を掘り起こし検証する、という作業に没頭することになる二人の医師がいます。

ゴトフリート・ヘルツカ博士とウィガート・シュトレーロフ博士は、40年以上にわたって数千人の患者にヒルデガルトの治療法やレメディ(ある成分を希釈震盪したものを染み込ませた砂糖玉)を試し、その効果を確認し、さらにそれを一冊の本(聖ヒルデガルトの治療学・フレグランスジャーナル社 ¥2800+税)にまとめました。

食事がどんな薬より重要である

優れた健康法が必ず食の大切さを力説する様に、ヒルデガルト療法でも最も重視するのは食事法であり、「どんな薬より重要である」と説きます。

ある種の栄養素を含む食物が全ての人々にとって同じように有益であるという場合は少なく、各人の体質、年齢、環境によって食べ物の身体への働きかけには違いがあります。

後半で、個人の体質や持病にとって有益な食べ物を幾つかご紹介したいと思います。

ヒルデガルト療法に一貫して述べられているのはキリスト教徒的中庸の大切さです。

極端な菜食主義や絶対禁酒主義、暴飲暴食などの愚かな習慣を戒めています。

森の賢人

キリスト教徒的中庸の大切さ

食欲、性欲、睡眠、すべての活動において一方の極端に走ることの無い様に心がけてバランスの取れた生活を重視します。バランスの取れた生活習慣はバランスの取れた考え方、人格を育てます。

ヒルデガルトの健康回復法で”外科用メスを使わない手術”といえば断食の事を指します。

断食は通常10日~2週間ほど専門家の指導の下で行われるグループ断食が一般的です。

断食中、特に初心者は体調不良を経験する事が多いため注意が必要です。必ず熟達した医師や専門家の指示を仰いでください。

断食は身体の治癒力を高め、全身の組織に溜まった毒素と老廃物を排出する事が出来、血液が浄化されます。

様々な浄化法

他にも身体の組織を浄化する方法として入浴、サウナの他にも湿布や様々な調剤を肌に擦り込むなどの方法が勧められています。

加えて昔からヨーロッパで行われた瀉血があります。現代では医学的根拠が認められない、などの理由から一般的には用いられず、限定的な症状の治療に用いられるのみになっています。

ヒルデガルトの瀉血の方法は血液をさらさらの状態にすることで血栓や脳卒中の危険を減らすことや慢性疾患の健康回復を妨げている血中の毒素(黒胆汁)を除去することを目的としています。

(現在の日本の法律では、患者の体を切開することは医療行為にあたり、無資格で行うと医師法違反の対象になります。)

ヒルデガルトによると4つの元素(火・空気・水・土)を含む体液の様々な組み合わせは24の基礎疾患を生じさせ、癌、黄疸、水腫、腸の病など重大な内臓疾患といわれるものは系統的に40タイプ程に分類されます。

本書(聖ヒルデガルトの治療学)の中で彼女は、これらの疾患の一つ一つに対する詳細な治療法について述べています。

英字新聞

ヒルデガルト療法の具体例

初期の白内障

目のぼやけや濁りのある人(初期の白内障)には、ぶどうの蔓を切った後に出てくる樹液を目に塗ることを勧めています。これでかなり目がはっきり見えるようになるといいます。

その際、多少の樹液が目に入っても心配ありません。

一時的な難聴

もし片方の耳が聞こえなくなった時、ジャスパー(碧玉)が役に立つかもしれません。ジャスパーに息を吹きかけて温め、それを耳の中に置き、その上から柔らかいコットンで外耳道を塞ぎます。

ジャスパーはパワーストーンのお店で購入することが出来ます。円錐形の石を使ったり、丸い石であれば小さな鎖を取り付けて耳の穴の奥に入ってしまわないように注意が必要です。

消化活動

循環の悪い人や胃が冷えている人には肉、魚と一緒に、生もしくは調理したハッカを食べると消化活動の手助けになります。

ハッカは胃を温めて血行を良くしてくれるでしょう。

スペルト小麦・フェンネル・栗

ヒルデガルトが全ての人にとって100%良い食べ物として推奨しているのは、ほんのわずかです。

それがスペルト小麦(小麦の原種にあたる古代穀物)、フェンネル(ハーブ)、栗の3種類です。

( フェンネル )

フェンネルの種子は健康維持にとても有益です。空腹時に毎日食べれば粘液やあらゆる老廃物を減らしてくれるばかりか口臭を消して、視界をクリアーにしてくれます。

油で揚げた肉や魚、その他の揚げ物を食べると胃の不調を感じる人にはフェンネルもしくはフェンネルの種を食べることを勧めています。

( スペルト小麦 )

スペルト小麦は引き締まった肉と良い血液を作り身体を健康にする最高の穀物であると称賛しどのような人にとっても最高の食べ物であると力強く推奨しています。

ヘルツカ博士はスペルト小麦を詳しく分析し、この小麦には必須アミノ酸、神経系に有益な脂肪酸、炭水化物、ビタミン類、ミネラル類の宝庫であり食物繊維も豊富であることが確認されています。

( 栗 )

栗はスペルト小麦やフェンネルと同様、非常に健康に良く特に動脈硬化、記憶の喪失、めまい、動脈硬化が原因の頭痛などの症状が伴うアルツハイマー病を含む脳の動脈硬化を発症した人に極めて有用な食べ物として紹介されています。

ヒルデガルト療法はスピリチュアル療法です。日常生活での心理面や精神面の働き、そしてそれらが身体にどのような影響を与えるのかについても本の中で詳細に語っています。

2012年10月、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、ローマ教皇ベネディクト16世によって35人目の「教会博士(神学上重要な役割を果たした聖人に与えられる称号)」に列せられました。

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