最新のガン免疫療法を分かりやすく解説します

癌発生率の上昇

現在、世界中で癌の発生率が急速に上昇しています。大昔からあった天然の発癌物質である放射線、紫外線、ウィルス、カビ菌などに加えて、人間はあまりにも多くの人工的発癌物質を環境にまき散らしてきました。

癌発生率の上昇は私たちの防衛力が、様々な発癌性物質に対してギリギリの状態にあることの1つの表れなのです。

免疫療法2

それが、たとえ初期の癌であったとしても身体の監視機構をすりぬけて来ていること自体、治癒系の相当の機能不全だといえます。

癌などの悪性細胞が危険なのは死ぬべき時に死なず、いるべき場所におさまらず身体の秩序や法則を乱して成長し続けるところにあります。

癌の三大療法の限界

ところが、現代医学はごく控えめに言っても癌に上手く対応出来ていません。現代医学は病気の診断や外傷の治療をはじめとした内科的、外科的緊急事態の処置においてとても優れていますが、ほとんどのタイプの癌治療には不向きです。

治癒系の機能不全がもはや固定的なパターンにまでなっているような状況に対して、つまり癌が塊にまでなっているとき、現代医学の対処法とは、外科手術、放射線療法、化学療法のいわゆる三大療法を主体にして組み立てられます。

外科手術

(外科手術)

外科手術に関して言うと、例えば癌が手術用メスの届く範囲にあり、且つ1か所に留まっているのであれば効果的な方法であり、その部分を摘出して除去するこ とが可能ですが、残念なことにそのような癌は非常に少なく、多くの癌がメスの届かない場所にあり、発見された時には数か所に広がっていることがほとんどです。

(放射線療法)

放射線療法と化学療法は未熟であるばかりか粗雑な療法であり、食欲不振、嘔吐、悪心、脱毛などの副作用は皮膚や消化管の損傷を意味していますし、そもそも放射線療法と化学療法自体が変異原物質であり発癌物質であることも忘れてはいけません。

放射線療法にしろ化学療法にしろ、いずれは過去の産物になると言われているような治療法なのです。

医師がそのような治療法をすすめる一番の理由はそれしか知らないからですが、彼は自分がすすめる化学療法を「5年生存率80%の治療法だ」と言うかもしれません。

しかし、そのような説明ではその患者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)も5年以降の生存率もわかりません。

もし、放射線療法や化学療法をすすめられたら、医師の見解を鵜呑みにせず、自分と同じタイプで同程度のステージの癌の治療成功率に関する統計などを入手したうえで判断してください。
がん情報サービス

最新の免疫療法

三大療法に続く第四の治療法として注目されているのが免疫療法です。

免疫の仕組みには生まれつき私たちの身体に備わっている自然免疫と、いろいろな抗原に感染することで身に付く獲得免疫があります。自然免疫では対処しきれない場合に働きます。

獲得免疫は強い破壊力がありますが、自然免疫からの警報がなければ発動しません。一見、回り道のようにも見えますが強い攻撃力を持つ免疫をうまくコントロールするための巧妙な仕掛けになっているのです。

癌免疫療法はこの免疫の仕組みを利用した治療法です。異物を攻撃する働きを持つ免疫細胞が治療の主役なのです。主に本人の免疫細胞を採取して増やし、再び本人の身体に戻します。本人の細胞を用いるため副作用が軽くてすむのも大きなメリットです。

免疫療法には、いくつかの方法があり、医療機関によっても呼び方が違ったりして分かりにくいのですが、大きく二つに分ける事ができます。免疫療法

攻撃目標を特定する特異的免疫療法と攻撃対象を特定しない非特異的免疫療法です。

非特異的免疫療法

主に自然免疫の働きを強めて攻撃力を上げていく方法です。非特異的免疫療法には免疫の中心を担うエリート集団・T細胞やリンパ球の一種でウィルスに感染した細胞や癌細胞などを攻撃するNK細胞を用いるものと用いないものがあります。

特定の癌だけにターゲットを絞らないので身体の広範囲にわたって広くパトロールできますが集中攻撃できないという弱点もあります。

しかし、性質が変わりやすいという癌の特徴に対して大きな力を発揮すると期待されています。

【BRM療法・サイトカイン療法】

免疫療法の出発点がBRM療法やサイトカイン療法でした。BRM療法は結核予防ワクチン(BCG)などを投与することで免疫の働きを高めることを目的としました。

一方のサイトカイン療法はサイトカインと呼ばれる免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質を直接身体に投与し、免疫細胞を活性化させます。

サイトカインにはT細胞を活性化させるインターロイキン2(IL2)やNK細胞やT細胞に働きかけ活性化したり、サイトカインの放出を促すインターロイキン12(IL12)、癌に細胞に直接働きかける事もできるインターフェロン(IFN‐a)など様々な種類と働きがありますが、免疫の戦いが始まると大量に放出されます。

サイトカイン療法は一部の癌で効果が確認されていますが副作用も強く、最近ではサイトカインの遺伝子を利用するなどの改良が試みられています。

サイトカインは免疫療法に欠かせない存在です。

【LAK療法】

強い攻撃力を持つNK細胞やT細胞などのリンパ球を抽出し、活性化させて患者さんの体内に戻す治療法です。ただしNK細胞は自然免疫のメンバーですから癌にターゲットを絞って攻撃するわけではなく、効果も限定的でした。

癌免疫細胞療法の草分け的存在です。

最近では癌のある局所にだけの投与が試されています。

【CAT療法】

LAK療法では十分にT細胞を活性化できないことから登場したのがCAT療法です。

T細胞が増殖するには、まず細胞の表面にある「CD3」という分子を活性化させる必要があります。そこで「抗CD3抗体」をT細胞に加え、次にサイトカインのひとつであるインターロイキン2を加えて増殖させたT細胞を本人の体内に戻します。

CAT療法では癌の再発予防効果が認められたり癌性の腹水や胸水を改善させる効果が報告されていますが、増えた細胞の性質によって効果が大きく左右されるという問題点も指摘されています。

 癌発生率上昇

特異的免疫療法

癌だけにターゲットを絞る免疫療法です。獲得免疫の働きを利用して、癌だけを「特異的」に探し出して攻撃します。

癌を攻撃するのは主にT細胞の役目ですが樹状細胞を使う治療法も開発されています。樹状細胞がT細胞に癌の情報を伝えるのです。

【CTL療法】

癌の特徴を覚えたT細胞をたくさん増やせれば、癌を効果的に攻撃出来るはず!という発想で始まったのがCTL療法。まず患者の血液から樹状細胞とT細胞を取り出し、T細胞に癌の特徴を教えたうえで、患者の体内に戻します。

癌抗原を認識させている分、治療効果が高く、LAK療法単独で行った場合より高い効果が報告されています。

【DCワクチン療法】

DCとは樹状細胞の事です。自然免疫の一種である樹状細胞を取り出して癌抗原を加え、提示させたうえで体内に戻します。樹状細胞が癌抗原を提示するには癌を異物とみなし、捕食する過程が必要になってきます。

CTL療法でも活性化させた自己リンパ球を体内に戻す方法を用いますが、戻したリンパ球が癌との戦いで疲弊、消耗してしまうと効果が薄れてしまいます

DC療法では樹状細胞に癌抗原を提示させ、身体に戻した後は獲得免疫の仕組みに任せます。樹状細胞がT細胞に癌抗原を教え込むことで癌ハンターが育っていくことを期待するやり方です。免疫反応が長続きするというメリットがあります。

【DCI療法】

最近始まったばかりの新しい治療法ですが、癌抗原を使わない治療法として注目されています。

癌抗原の制約を受けないので免疫反応が自然なのが利点で、手術が出来ない、もしくは他の治療法で効果が薄れてきた患者を対象にした臨床実験で、17人中12人に腫瘍の縮小、もしくは増大停止が認められました。

乳がん患者では腫瘍の中に樹状細胞がたくさんある人ほど経過が良い事が分かっています。そこで直接、樹状細胞を癌の組織に注入すれば癌を食べて、抗原を提示するようになるのではないか?・・このような発想で生まれたのがDCI療法です。

癌に直接注入するため、部位によっては行えない場合があります。

【ガンワクチン療法】

免疫細胞ではなく癌の抗原そのものを身体に投与して、免疫反応を起こさせるのが、ガンワクチン療法です。

接種された癌細胞を自然免疫が攻撃し樹状細胞が抗原を提示します。ガンワクチン療法には、患者本人の腫瘍細胞を使う「腫瘍細胞ワクチン療法」人口抗原を使う「ペプチドワクチン療法」があります。

腫瘍細胞ワクチン療法では手術で取り出した癌細胞を増殖しないように処理し、再び患者の体内に戻すことで獲得免疫の反応を引き出すことを目的とします。

一方のペプチドワクチン療法はペプチド(人工抗原)をワクチンとして利用するため手術の必要がなく、患者さんの身体への負担も少ないのですが、本人の白血球の型(HLA)が人工抗原に合わなければ使うことが出来ないという制限があります。

【抗体療法】

獲得免疫であるB細胞は癌などの「抗原」を攻撃するために「抗体」という武器を作り出し、利用します。最近では、この抗体を人工的に合成できるようになってきました。

抗体療法は癌に合う抗体を体外で合成し、投与する治療法です。特定の抗原にターゲットを絞り、単一の抗体を大量に作ることで癌細胞の退縮を促すのが狙いです。

抗体が抗原と結びつくことを抗原抗体反応といいますが、これが引き金となり、更なる免疫反応を引き出し癌を攻撃するという効果もあります。

乳癌、悪性リンパ腫、大腸癌などは症状によっては抗体療法が標準治療(健康保険が適用される)として行われています。

免疫療法今後・の課題

今後、免疫の仕組みを解明する研究と臨床の場での免疫療法の検証が進むことでさらに新しい、そして優れた治療法が発見されることでしょう。

残念ながら現在のところ免疫療法は癌の標準治療にとって代われるところまでは到達していません。あくまで補完的な第四の治療法です。

今後免疫の仕組みを解明する研究と臨床の場での免疫療法の検証が進むことでさらに新しい、そして優れた治療法が発見されることでしょう。

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