腹腔鏡手術のどこが問題なのか?メリットとデメリットを考えてみる

医療

ずさんでお粗末な医療体制

群馬大学病院や千葉県がんセンターなどの医療機関で、腹腔鏡を使う高難度の手術を受けた患者が死亡する、という問題が明るみに出ました。

現時点で手術と死亡の因果関係は明らかにされていませんが、いずれのケースでも術後に容態が悪化し、分かっているだけでも群馬大学病院で8人、千葉県がんセンターで11人の患者が死亡しています。

有効性や安全性が十分に確認されていない

腹腔鏡手術は、おなかを大きく切らずに小さい「穴」を作って器具を挿入し、腹部に5~10ミリ程度の穴を4~5個開け、そこから細長いカメラ、電気メス、手術器具を入れて、モニターに映し出された映像を見ながら病変部を切ったり縫合したりする手術方法です。

傷口が小さくて済むため痛みも小さく、術後の感染症のリスクも少なく快復も早いので、胃癌、大腸癌、消化器系の腫瘍切除、腸閉塞、子宮癌検診などに用いられることが増えています。

腹腔鏡を使う肝臓切除手術は、比較的実施しやすい「部分切除」などに限り、10年4月に保険適用されました。

しかし、高度な技術が必要な「区域切除」などは有効性や安全性が十分に確認されていないとみなされているため保険適用外です。

保険適用の手術に比べ適用外の手術はリスクが高く、死亡率も肝臓手術で5・4倍、膵臓手術で10・8倍と非常に高いことが分かっています。

医療機関

メリットとデメリットをきちんと知ること

上手くいけば身体への負担が少なく、入院期間も短くて済み、早期の社会復帰が可能といったメリットがある反面、確実性という意味からいえば昔ながらの開腹手術のほうが勝ります。

例えば血管が多く集まっている肝臓の手術は他の臓器に比べて難易度が高く、必ずしも腹腔鏡手術が安全とは言えず、そうした場合は開腹手術で行った方が患者にとって有利な場合もあるのです。

更に、腹腔鏡手術では全身麻酔が必要なことや、腹部に針を差し込み炭酸ガスで膨張させて行う気腹法という手法がとられる為、血液中に炭酸ガスが溶け出して、血液中の酸素濃度が低下し、不整脈の原因になる場合があったり、腹腔内圧が上がって、血液循環が悪化し、静脈血栓症や肺塞栓の危険性が高まります。

更に、摘出物の回収が困難な場合や、手術操作に熟練を要するなどの制限があるため、手術時間が延長する傾向にあります。

腹腔鏡による手術は実験的な医療?

患者にとって真に有益なのは開腹手術か?腹腔鏡手術か?の選択は難しく、ケースバイケースであるため医療界でもはっきりとした結論が出ていません。

2014年、神奈川県立がんセンターの研究グループが2つの手術法の間で患者の負担や栄養面に差はない、という報告をしています。

日本胃癌学会のガイドラインでは腹腔鏡による手術はいわば「実験的な医療」という位置づけと記述。

「人より早く新しい技術に挑戦し、実績を上げたい」という外科医は多く、腹腔鏡をスタンダードに持っていこうとしていますが、まだコンセンサスは得られていません。

もちろん、診療報酬の問題やそれにまつわる経営上の問題があったことは事故後の第三者検証委員会報告書でも指摘されています。

一応、倫理審査はあるのですが、法的義務でもないだけに無理な試みを抑止しきれないという側面もあるのです。

 

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