不老不死の妙薬を求めて

老いや死への恐怖 不老不死薬への憧れ

老いや死に対する恐怖心は人間に根源的なものです。

それを逃れ得た人は誰もいませんし、おそらくこれからもいないでしょうが、永遠の命を実現するための様々な方策が今も真剣に考えられていることでしょう。

初めて中国大陸統一の偉業を成し遂げた秦の始皇帝は、その絶大な権力を背景に、あらゆる手を尽くして不老長寿の薬を捜し求めたことが司馬遷の書いた『史記』に記されています。

始皇帝 兵馬俑

それに応えて徐福という人物が多くの部下と共に万能薬探しの旅に出ます。

徐福が向かったのは、古代中国において”仙人が住む島”と信じられていた東の海に浮かぶ島「蓬莱国」とされていますが、この蓬莱国は日本ではないか?と言われています。

確かに日本各地に徐福に関する伝説が今も残っており、「自分たちは徐福の子孫である」と主張する人達もいるようです。

徐福の目的は蓬莱国に棲む仙人を始皇帝のもとに連れてくるか、でなければ不老不死の薬をもらってくるかという事にあったようですが、史記の記述を信用するとすれば、徐福が実際に旅に出たかどうかも怪しいようで、徐福自身はそんな薬の存在自体を疑っていたふしがあります。

結局、薬を見つけることができなかった徐福は始皇帝の怒りを恐れて咸陽の都には戻らず、連れて行った多くの部下や職工と共に蓬莱国に根を下ろし、おそらくその辺りを切り従えて王として暮らした、といわれています。

一方、それでも諦めきれない始皇帝は、「仙人の術を使うことが出来る!」と言う怪しげな方士達を重く用いて、”丹薬”と云う更に怪しげな薬を調合させます。

この丹薬は、どうやら水銀などの重金属を原料にして作られていたため、始皇帝は水銀中毒を引き起こし、不老長寿どころか逆に生命を縮めることになってしまいました。

世界中に見られる不死薬の話

グリム童話にも「3枚の蛇の葉」という話があります。

蛇の葉

ある国に、それは美しい王女がいました。ですが、なかなか結婚相手が見つかりません。

彼女は風変わりで「もし、自分が死んだ時、一緒に死んでくれる人と結婚したい」と望んでいたからです。

そこに勇気のある若者が現れ、王女の出した条件を飲んで結婚します。

幸せな日々は永くは続かず、王女はほどなく病気でこの世を去ります。若者は妻の死を悼み、約束どおり棺に入り墓に埋められました。

墓の中で若者は大蛇を見ました。王女の遺体に近づこうとする蛇に若者は剣を抜いて斬りつけ、三つに切って殺してしまいました。

すると、どこからとなくもう一匹の蛇が現れて、切り裂かれた蛇の傷口に3枚の葉を乗せます。(まぁ、傷口は4つですが、そこはあまり気にしないでください)。

切り裂かれて死んだはずの蛇はみるみるうちに元通りにつながり、仲間と一緒に逃げて行きました。

それを見た若者は「もしや!」と思い3枚の葉を王女の身体に置きます。見事王女は蘇り二人は再び王宮で暮らします。

日本昔話であればここで終わるところですが、グリム童話は案外残酷です。

この後、王女が不倫して夫を疎み、海に突き落として殺してしまいます。結局は彼の忠実な召使いが、またもや蛇の葉を使って若者を生き返らせ、王女と間男を懲らしめるというオマケつきです。

「不死山」→「富士山」

日本にもあります。誰でも知っているかぐや姫の話。

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月へと旅立って行くかぐや姫は、1人の天女から不老不死の薬を手渡されます。

この薬は「永い間、地上で穢い暮らしをなさいましたね」という天女の労りから手渡たされたものです。

かぐや姫は1口だけ舐め、残りの薬は別れを惜しみ、嘆き悲しむ帝に差し上げます。

帝は「もう、かぐや姫に会えないというのに、不老不死の薬が何になろう!」といって山に登って不死薬を焼いてしまいます。

のちにこの山は「不死山」→「富士山」と呼ばれることになります。

同じ不老不死を題材にした話でもそれぞれの国の民族性がみられて面白いと思います。

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