風邪ウィルスの感染を防ぐ

私たちは、おおまかにいって一生涯に200回ほど風邪をひきます。平均的な寿命の人が一生涯のうちに鼻水、咳、頭痛、喉の痛みに苦しめられる期間を合計すれば5年間にもなり、そのうちの1年間は床につく計算になります。

辛い風邪

一体、なぜ効果的な風邪のワクチンや治療薬ができないのでしょうか?

私たちの身体はウィルス株に出会えば適切な免疫反応をおこして抗体をつくり、再び同じウィルスが体内に入ってきたら素早く撃退します。

ところが残りの無数のウィルス株には免疫がありません。敵の種類が多すぎるのです。これが現在までワクチンが完成していない主な理由です。

風邪に抗生物質は効かない!

言うまでもなく風邪の原因はウィルスです。だから、抗生物質は効きません。抗生物質は細菌が細胞壁をつくるのを阻む事で細菌を殺します。ウィルスは細胞ではありませんから、当然ながら細胞壁を持たず、したがって抗生物質はまったく効かないのです。

二次感染を抑えるために、例えば耳感染症のある小児にしばしば抗生物質を処方する医師もいますが、ある研究によれば抗生物質による治療の結果、改善が見られたのは12%に過ぎず、逆にアレルギーのリスクは20%も高まります。

殺菌効果をうたう石鹸やスプレーも風邪の病原体に対しての効果は期待できないでしょう。

イギリスの風邪研究機関(CCU)の実験室を描いた1コマ漫画で、年配の科学者が若い研究者の肩に手を回しこう言います。

「わかってるよ。この研究分野には華がないよな。だがな、少なくとも職にあぶれる事は永久にないぞ。」

風邪の原因は200種類以上の異なるウィルス

風邪の原因には少なくとも200種類の異なるウィルスが関与しています。

季節に関係なく鼻かぜをおこすライノウィルスはすべての風邪の40%を占めます。他にもアデノウィルス、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルス、インフルエンザウィルスなど、相互に関連のないウィルス属が少なくとも5つあります。

たった1個のライノウィルスの粒子でも感染には充分です。ラノウィルスは大抵、鼻道からこっそり忍び込みますが、ウィルスに汚染された指で目をこすったりすると涙腺を伝って鼻まで移動する事を発見したのは風邪研究のパイオニアの1人である米・バージニア大学の耳鼻咽喉科准教授のビアギッテ・ウィンザーです。

彼女の同僚、オーウェン・ヘンドリーを有名にしたある研究結果によると風邪をひいている人は部屋中のあらゆる物体表面に風邪ウィルスを残し、これらはかなり長時間生きていることが確認されました。

ライノウィルスは飛沫感染しません

ところが、意外なことに咳やくしゃみによって発生する飛沫が風邪を広める、という確たる証拠はありません。唾液にはほとんどウィルスが含まれていないのです。

実際、研究者が重い風邪に罹った人のいる部屋で空気の検体を採取して調べたところ、82%もの空気を調べたにもかかわらずウィルスはまったく検知されませんでした。

また、ウィルス検出用の物体表面にむかって直接くしゃみや咳をしてもウィルスが検出されたのは25回中2回のみでした。

つまり、感染拡大の源は風邪に罹った人の鼻からの分秘物に含まれる無数のウィルス粒子なのです。その量はひき始めの3日間にとりわけ多くこの時期が一番風邪がうつりやすいようです。

Red_White_Blood_cells

wikipedia

風邪を予防する簡単な方法

風邪をひいた人の手には普通風邪ウィルスがくっついていますので、たとえ短い接触でも他の人の手にウィルスを移すことが可能ですし、コーヒーカップ、パソコンのキーボード、ドアノブ・・・・etcこれらがすべて媒介物になり得るわけです。

”風邪をひいている人の近くにいるときには、意識して自分の手を顔に近づけない”実はこんな単純なことで大部分の風邪ウィルスを予防できます。

もしくは、右利きの人であれば自分の眼や鼻を触るときは左手で触るように訓練してもいいかも知れません。

これがインフルエンザウィルスになると話は少し違います。結核菌と同じようにインフルエンザウィルスも咳やくしゃみなどの空気感染によっても拡大します。

パラインフルエンザウィルスは声帯と気管、呼吸器系シンチウムウィルスは肺の抹消気道、インフルエンザウィルスは肺そのものを好みます。

ウィルスは比較的大きな飛沫となって飛び散るか、微粒子状の飛沫核となって何も知らない犠牲者の肺に舞い降りるというわけです。空気感染出来る微生物というのはそれ程多くありませんが、それが可能な微生物にとって感染は朝飯前の仕事なのです。

ウィルス干渉とは

ある興味深い新説によるとライノウィルスに感染しているとインフルエンザが寄り付かなくなるといいます。

フランス・リヨンにあるフランス国立インフルエンザセンターのジャン=セバスチャン・カサレーニョは2009年にインフルエンザA型(H1N1)がフランス国内で大流行した時、インフルエンザ罹患率に興味深いパターンを見つけました。喉のぬぐい液検体を調べた結果、ライノウィルスの陽性結果が上昇するにつれて、豚インフルエンザの陽性結果が減少していたのです。

これはウィルス干渉として知られる現象で、細胞が複数のウィルスに感染した時、どちらか一方、或いは両方の増殖が抑制されるというものです。

同様のパターンはノルウェーやスウェーデンでも確認されました。

一旦、ライノウィルス感染が成立すると感染細胞はインターフェロンやサイトカインを生成し始め、これが免疫応答となって細胞が抗ウィルス状態になるようです。

過去の研究でもライノウィルスに感染した人は他のウィルス・・・、アデノウィルス、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルス、インフルエンザウィルスなどに感染しにくくなることが確認されており、これが感染症蔓延に対する防御法になりうるのでは?新薬の開発につながらないものか?と期待されています。

宿主に破壊的なダメージを与えるのは無能なウィルス

ライノウィルスは33℃でしか増殖しません。人間の体内でこの条件を最適に満たすのは鼻咽腔です。つまり鼻風邪のほとんどがライノウィルスによるものです。

ライノウィルスはポリオウィルスと半数ほどの遺伝子を共有していますが、ポリオウィルスほどの脅威を与えないのは周りを覆っているタンパク質が胃腸内の温かい酸性環境で生き抜く能力を失っているからです。

数百万年にわたって霊長類に感染してきた風邪ウィルスは新型ウィルスと違い私たちの弱点や習慣を巧妙に利用する術を学んでいます。

ウィルスは他の生物に寄生することでしか生き延びることが出来ない以上、宿主に壊滅的なダメージを与えることは彼らにとっても得策とは言えないのです。

実際、風邪ウィルスはどのような伝播経路を辿って人から人に広がっていくのでしょうか。

奇妙に聞こえるかも知れませんが、風邪は滅多やたらに広がるわけではなさそうです。少なくとも結核やインフルエンザと比較して。

このテーマに関しては、ウィンザー女史と同じく、バージニア大学のジャック・グワルトニーJrが、ある企業の従業員を対象に15年にわたって行った調査が参考になります。

500人の従業員の間で個々に血清型の異なるウィルスの拡散状況を調べた結果、必ずしも同じ場所で働く人の間で同じウィルスが広がるわけではない事や、職場よりも家庭で感染することのほうが多い事などがわかりました。

子供の風邪は防ぎようがない

子どもはよく風邪をひきます。平均的に言って大人が一年に2~4回風邪をひくのに対して子どもは12回と言われています。子どもとの接触機会がどれ位あるかということと風邪のひき易さには相関があるのです。

子供たちが集団生活をおくる保育所や小学校はウィルス蔓延に最適の環境であり、コロラド大学のハーリー・ロッドバート医師が言うように「第一次世界大戦時の塹壕以来、病原体がこれほど効率的に共有されている場所は保育所以外にない」のです。

風邪が学校の始まる夏の終わりから秋の初めに流行りだし、呼吸器系の感染症も通常の3~4倍に跳ね上がるのは、バカンスから持ち帰ったウィルスを子供たちが友達と共有するためかも知れません。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は「6歳未満の乳幼児や小児に風邪薬や鎮咳薬をあたえるべきではない」という勧告を出していますが、もし、小児科を受診した子供の両親に「これはただの風邪ウィルスです。効く保証もない薬など飲まなくとも3~4日寝ていれば治りますよ」と告げれば不信感を持たれるのがおちです。

結果、小児科医はこう考えるようになります。

「この子の咳がひどくて眠れないのはかわいそうだ。それならリン酸コデインの咳止めシロップを安全な容量処方すれば何も問題はないだろう」

最新治療はいつも物笑いの種

風邪の専門家であるジャック・グワルトニーJrは言います。「過去の治療法も現在の治療法もいずれ劣らず馬鹿げている。最新の治療法が一年に一度くらいは新聞を騒がせるが、いつでも残念な結果に終わる。今日の奇跡的な治療薬は明日になれば物笑いの種なのだ」

繰り返しますが風邪に特効薬はないばかりか、治療薬さえ怪しいもので、風邪で苦しむ期間を短縮してくれるという証拠もありません。

鼻づまりやくしゃみなどの症状を和らげる薬はあるものの、必ず副作用が伴います。

その薬、本当に必要ですか?薬の副作用について

風邪にはチキンスープ

チキンスープは大昔から多くの文化において病気の子供の心身を癒す妙薬として認められてきました。

12世紀のエジプト人ユダヤ教徒で医師であり哲学者であった、モーシェ・ベン・マイモーンはその著作の中で、安らぎ、滋養、水分補給手段としてもチキンスープを風邪の患者に進めています。

最近の研究によるとチキンスープには消炎作用があることが分かりました。ネブラスカ大学医療センターの呼吸器学の専門家であるスティーブン・レナードはその研究成果を「チキンスープが好中球の生体外化学走性を阻害する」として発表しました。

レナードは健康なボランティアから血液中の好中球(感染部位に駆けつけて炎症作用を起こす)を採取し様々なスープと混ぜました。

その結果チキンスープによって好中球の移動が阻害されることがわかりました。つまりチキンスープには消炎作用があるということです。

そして、風邪の症状は炎症反応によって引き起こされます。

レナード博士は言います。「生物学的活性を有する物質の正体は分かっていませんが、それは水様性で抽出可能な物質でしょう。ニンジンその他の野菜のピューレに治療効果はありませんが、チキンスープにはあるのです。」

それは、ブイヨンだけでは効果がなく、チキンと野菜の混合物から生まれる魔法の効果なのです。

チキンスープレシピ(2人分)

  • チキン・・・シチュー用(適量)
  • 手羽・・・・4~5本
  • 玉ねぎ・・・1個
  • さつまいも・・2/1個
  • かぶ・・・・・2/1個
  • セロリ(茎)・・2~3本
  • ニンニク・・・2片(みじんぎり)
  • パセリ・・・適量
  • オリーブオイル・・適量
  • 塩・・・・適量
  • 胡椒・・・適量

チキンを洗ってから大きな鍋に入れ、チキンがかぶるまで水を入れます。火にかけて沸騰したら野菜を入れて1時間から1時間半程煮込みます。

脂が浮いてきたら取り除き、セロリとパセリを加え更に40分程煮てからチキンを取り出します。このチキンはこの後スープには使わず、ほかの料理に再利用しましょう。

野菜をフードプロセッサー細切れするか裏ごしし、塩と胡椒で味を整えたら完成です。

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