検診のリスクをしっかり認識しておくことの大切さ

日本人の検診好きは相当なものだと思います。

定期的な実施が義務付けられている法定健診(定期健康診断)の他に、人間ドック、各種の癌検診、 ABC 検診・・・、人口100万人あたりのCT・MRIの台数は諸外国(アメリカの約2倍)と比べて突出しています。

日本人の検診好き

もちろん、アメリカなどのように医療費が高額な国で安易に検査ばかり受けていると破産してしまいます。

また、ドイツなどのように個人が「かかりつけ医」を持っている国では総合病院への受診制限があるため、受診する必要があるかどうかはかかりつけ医が判断します。(※近年、日本もこの流れになりつつあります)

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要するに日本は医療費が比較的抑えられているため、検査を受けやすいのです。

これは良い事です。

どんな病気でも早期に発見、対処することでリスクを大幅に軽減する事が出来ます。

CTスキャン

大切なのは、検診のリスクを正しく理解すること。リスクマネジメントとしての検査そのものが重大なリスクに繋がることもあり得る、という認識です。

さらに、検査の結果が常に正しい訳ではない事、検査結果が異常にも拘わらず病気が見つからない場合、逆に検査結果は正常なのに実は病気が進行している場合など検査の精度の問題です。

見つけない方が結果的に良かった、という検査もあるでしょう。アメリカでは平均余命が10年未満の人に癌検診は不要と考えられていますし、見つかっても治療が出来ない不治の癌であれば、そもそもお金と時間をかけて見つける必要があったのでしょうか。

もちろん、それは結果論ですが高齢で亡くなった男性の2人に1人に前立腺癌が見つかるというデータもあるくらいです。

ほとんどの検査は2択で判断される

検査は一般的に「正常」もしくは「異常」の2択で示されます。「74%の確率でインフルエンザに罹っています」という言い方はあまりしません。やはり病気も「ある」か「ない」かの2択で示されます。

(検査陽性)・・・数値が異常(病気あり)

(検査陰性)・・・数値が正常(病気なし)

これは比較的納得できそうです。

ところが検査の結果が陽性なのに病気がない場合(偽陽性)や検査結果が陰性なのに病気がある場合(偽陰性)になると話はそう単純ではありません。

感度」と「特異度」

検査の正確さを表す言葉として「感度」、「特異度」というものがあります。感度は本当に病気がある人のうち、検査で陽性が出た人の割合、特異度は本当に病気がない人のうち、検査で陰性が出た人の割合を示しています。

例えば、感度100%、特異度100%であれば、検査が陽性なのに実は病気がなかった、という事態は起こりえないため、偽陽性も偽陰性も発生しません。

ただ、現実的にみて検査の精度というのは大体、感度・特異度共に80%前後ではないでしょうか。

検査の感度を上げようとすれば特異度は下がり(偽陽性が増える)、特異度を上げようとすれば感度が下がる(偽陰性が増える)というジレンマもあります。

新型出生前検査をどこまで信用するか

高齢出産が増えたことで新型出生前診断を受ける妊婦さんも決して少なくありません。

羊水検査や超音波検査(胎児超音波スクリーニング検査)、母体血清マーカーテストなどを使って21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーなどを検査していきます。

朝日新聞の行った調査で新型出生前検査を受けて陽性の結果が出た人の9割が人工中絶を希望したという記事があります。

一方で、女性を対象にした「新型出生前検査を受けたいですか?」というアンケートで検査を希望するのは1割程度でした。4割の女性が「検査を受けない」もしくは「たぶん受けない」と答えています。

赤ちゃんの手

その理由として「もし、異常があってもしょうがない、自分には人工中絶を選ぶことは出来ない」という意見が多かったようです。

確かに、ある検査を受けても、その後の行動が変わらないのであれば余計な検査を受けないのは賢明な事です。

もし、検査結果を信じて人工中絶をすれば2~3割の実は異常のない胎児が生命を失ってしまうかもしれないのです。

なぜなら、どんな検査にも精度にバラツキがあるため、「検査結果が異常なのに病気なし!」という事がざらにあるのです。

検診によるリスクを正しく理解する

検診が必要ない、とはもちろん思いませんが、最終的な判断を他人に丸投げして後悔することがないように気を付けましょう。

レントゲンやCTによる被ばくのリスクも深刻です。日本人が診断分野で被ばくする線量は個人差を除外して言うと、世界平均の6倍以上、先進国と比較しても2倍弱という多さからもうかがえます。(出典:UNSCEAR報告書2008及び原子力安全研究協会「生活環境放射線2011」)

先週、歯医者で単純X線撮影をして、今週は検診で胸部レントゲン、ついでに頭部のCTも撮っておきましょう、などという提案は受け入れる必要はない事を覚えておいてください。

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