ぐっすり安眠するために必要なこと

過剰な刺激とカフェインまみれの現代生活。毎日の安眠は最重要課題です。

睡眠不足は免疫系を大混乱に陥れますし、それを証明するのはそれほど難しい事ではありません。

例えば被験者の睡眠を数日間遮断した後、彼らと対照群にC型肝炎ワクチンを接種するといった実験があります。結果は、対照群に比べて睡眠を遮断された人々は、そのワクチンに反応して出来る抗体の量が50%も少なかった、と報告されています。

睡眠不足

つまり、免疫機能が半分に落ちているということです。

ところが、実際に睡眠不足と免疫力低下の因果関係に気付く人は少ないでしょう。睡眠不足で病気になった、とは思わないのです。

捉えがたい睡眠の本質

ハーヴァード大学精神医学者であるロバートスティックゴールド睡眠研究の世界的権威です。

その彼にして「睡眠の本質は捉えがたいものだ」といいます。

スティックゴールド教授の実験室では、多数の被験者を例えばコンピューターゲーム「テトリス」で遊ばせ、睡眠のとり方で成績が変わることを証明しました。

夜も寝ないで設計図やプログラムコードを書き続けるタイプのエンジニアが高給取りの条件というような危険なステレオタイプは、もはや通用しなくなりつつあります。

現にグーグルやナイキ、P&G、シスコシステムズなどの企業は社員の生産性と創造性を高めるために就業中の仮眠を許可し始めました。

仮眠

ノーベル賞をもたらすきっかけになった程のひらめきや、長い間、頭を悩ませた難解な問題がぐっすり寝た後で自然に浮かんだという伝説的なエピソードが多いのも無関係ではないのでしょう。

無呼吸症候群とうつ病の関係

スティックゴールド教授のもうひとつの実験、睡眠が足りている人と睡眠を遮断された人に『好ましい』、『好ましくない』、『どちらでもない』という一連の画像を見せて、記憶力を調べるという研究でわかったことは、睡眠を遮断された人の記憶は劣る傾向にあるが、好ましくない画像については彼らもよく覚えているということ。

この事は、うつ病と結びつけることが出来るかもしれません。うつ病を患うのは、人生の否定的な面しか思い出せない人です。

さらに、睡眠時無呼吸症候群は睡眠不足の原因になりますが、この疾病を持つ人もうつ病になりやすい事が分かっていて、投薬により無呼吸症候群が治癒すると、薬では治らなかったうつ病が自然に治癒することがあります。

これは、ぐっすり寝むれるようになればうつ病が改善するかも知れないことを示しています。

「どれだけ眠るか」と同じくらい重要なのが「いかに眠るか」です。

現代人にとって眠りはプライベートな時間であり、夜から朝まで他の人から離れて静かに身体を横たえ自分だけの世界に引きこもります。

この習慣は何かのトラブルを招いたりしないでしょうか。

エモリー・ワースマンは”睡眠”を専門に研究する人類学者ですが、彼女によると睡眠は引きこもる事ではなく、詳しく調べるほど社会的な行動であることを示す証拠がいくつも見つかると言います。

キーワードは”質”

睡眠はとても重要なのに、なぜ人類学ではあまり研究されないのか?疑問を持った彼女は様々な文化の睡眠習慣に関する研究し、たどり着いた見解は、現代の睡眠研究の結論(一日に8時間の睡眠が必要)と矛盾しませんが、処方箋という意味では違った面を重視します。”質”です。

問題は、どうすれば良い睡眠がとれるかという事であり、ここで進化的な状況を思い起こすことは理解の助けになります。

ほぼすべての社会において、睡眠は社会的に管理されていて、望ましい睡眠環境を整えることが重視されています。

とワースマン女史は言います。

夜11時になったらベッドに入り目覚まし時計をセットしたら、明かりとすべての音を消し、翌朝の目覚めを待つ・・・、実のところどの時代のどの地域を見ても、そんな風に眠る文化はあきらかに少数派なのです。

ライオンが生息するサブサハラの戸外で暮らしている人々はもちろん、人類が進化してきた時代の殆どは、前後不覚に眠りこけることを許さないものでした。

敵対集団や異民族の襲来、地震、津波などの天変地異、危険な捕食動物がうろつく環境で少しでも安心して眠りに就こうとするなら、グループの誰かの寝息、もしくは話し声、たき火のはぜる音、家畜の落ち着いた呼吸の音が聞こえていれば、深く眠っても大丈夫という合図になります。

様々な睡眠パターンが意味すること

更に年代による睡眠パターンの違いも重要です。昼夜関係なく不規則に目を覚ます赤ちゃん、世界のどの文化でも夜更かしするようになる青年期、一方、年老いてくるとあまり眠らなくなり夜起きていることが増えてきます。

睡眠時間帯の年代による違いはどの文化圏にも共通して見られ、それを重ね合わせると重要な意味が見えてきます。

ワースマン女史の計算によると、この睡眠時間のずれのおかげで平均的な年齢分布の35人の集団なら夜間のどの時間でも必ず誰かが起きていることになる、と結論付けています。

結婚している人やペットを飼っている人の方が独身の人より長生きする人が多い、という疫学上の発見もこれで説明の一つにはなるかもしれません。

「その方が熟睡できるから」という説明が。

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