感染症新時代の到来

一口に感染症といってもその病原体は何種類もあります。

基本的には環境中に存在するウィルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫などの病原体(微生物)が体内に侵入することで引き起こされる疾患のことです。

もう少し詳しく言うと、これらの病原体が組織の一部を破壊して増殖することで起こる臓器障害やそれに対する免疫反応による身体の変調のことを感染症といいます。

発熱・腫れ・痛み

感染症の三大症状は『発熱・腫れ・痛み』です。

炎症は侵入してきた病原体に対して身体の免疫系が反応して起こりますが、体内の炎症を見ることは出来ません。

しかし皮膚に出来た炎症は自分の目で確かめることが出来ます。最初は熱を持ち赤く腫れます。神経が走っている場所であれば痛みも感じます。

鉄欠乏症貧血

喉に炎症が起きると咳や痰が出ますし、胃腸で炎症が起きれば下痢をしたり、吐いたりしますが、これらは何れも身体にとって害になるものをいち早く排除しようとする反応なのです。

症状が発熱だけであれば、少しくらい高熱であってもそれほど心配ありませんが、それに加えていくつかの症状が重なったときは要注意です。

熱が下がらないうえに鼻血が出てきた、身体にブツブツ(発疹)が出る、便に血が混じる、お腹が痛い、吐き気が続くなど別の症状がいくつも重なるほど黄色信号というわけです。

意識がしっかりしているかどうかは、より重要です。ぐったりして意識が薄いような状態であれば更に危険な状態かも知れません。

感染症新時代

現代の感染症は新しい時代に入ったといわれています。

WHO(世界保健機関)が定義する感染症には、一時減少した様に見えて再び流行の兆しが見える「再興感染症」と新たに発見された「新興感染症」に分類されています。

WHOが言う再興感染症とは根絶に自信を持っていた、根絶が近い将来可能になるであろうと期待されていたのにそうはならなかった感染症の事です。

1980年代ワクチンや抗菌剤の開発が進み肺炎で死亡する人も減りました。人々は「感染症に苦しむ時代は終わった」と喜びました。しかし、収束したかに見える感染症も決して消滅したわけではなく、保有宿主(体内にウィルスを温存し、無症状で生きられる生物)と共に自然界に存在し続け、機会があれば舞い戻って大流行を引き起こします。

新興感染症と言われるAIDSやマールブルグ病にしても発見されたのが近年というだけで、おそらく遥か昔から存在していたものです。

エボラ宿主

HIVウィルス

HIVウィルスはもともとはチンパンジーが持っていたSIVウィルスが突然変異を起こしたものだと考えられていますし、ある種のコウモリから大型の類人猿、その類人猿を捕食した人間という経路で拡大していったエボラウィルス。

SARS(重症急性呼吸器症候群)

SARS(重症急性呼吸器症候群)は突然現れたとても強い感染力を持った新型肺炎ですが、キクガシラコウモリに起因する事が分かっています。それがハクビシンに入り込みハクビシンを食用にする中国から拡大しました。

MERS(中東呼吸器症候群)

SARSと同じコロナウィルスのMERS(中東呼吸器症候群)もおそらくコウモリが自然宿主になっていて、そこからヒトコブラクダを介して人に感染しました。

マールブルグ病

エボラ出血熱と共に毒性、感染性が最高レベルの危険度を示すBSL(バイオセーフティーレベル) 4に位置づけられるマールブルグ病は、最初の感染源に因んで「ミドリザル出血熱」とも呼ばれていますが、今に至るまで自然宿主の正体は分からず、人間への感染経路も不明という不気味な感染症です。

他にも日本で流行する可能性が高いのは、デング熱のように”蚊”を媒介とするチクングニア熱という発疹性熱性疾患であったり、マダニによる感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などが考えられます。

SFTSの致死率は30%程で、感染サイクルが出来上がっている西日本では2012年の感染発覚以来、13年に40人、14年には60人の感染者が報告されています。SFTSの感染者が見つかったのは東は和歌山県までですが自然界に存在し続けるウィルスが原因なので今後も発生し続けるでしょう。

蚊やダニに咬まれないで暮らしていくことは事実上困難です。ウィルスが存在する限りリスクも消えないという認識をしっかり持つべきです。

BSL4(バイオセーフティーレベル)4施設の充実を

つい最近まで日本にはBSL(バイオセーフティーレベル) 3までの感染症に対応する施設しかありませんでした(主な理由は近隣住民の反対)が、2015年のエボラ出血熱大流行を契機にBSL4という、他の施設から完全に隔離された最高度安全実験施設が国立感染症研究所と理化学研究所筑波研究所において運用されるようになりました。

エボラ研究

いつ、日本でレベル4の感染症が流行するかわかりませんし、現にアメリカ、イギリス、スペインなどの国々で見つかったエボラ出血熱の患者は空港でのサーモグラフィーによる体温測定やその他のスクリーニングによる検疫をすり抜けて入国することが起こり得るという実例です。

近年のエボラ出血熱騒ぎを見てもわかるように、国外のBSL-4病原体の国内への侵入やこれらの病原体を使ったバイオテロのリスクに早急に対処するためにも、また日本の比較的高い感染症研究分野での国際貢献を推進するためにもBSL-4施設の存在は不可欠です。

レベル4 エボラ出血、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱マールブルグ病、南米出血熱
レベル3 SARS(重症急性呼吸器症候群)、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

、炭疽、ペスト、結核、ニパウィルス感染症、日本紅斑熱、狂犬病

これらの感染症を媒介する微生物や寄生虫は目に見えませんが、どういう経路でどのように侵入するかを推測する事が予防の大前提になります。

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