ベストな睡眠時間には個人差があります
発明王エジソンは「自分は1日5時間眠れば充分だ!」と豪語し、眠ってばかりいるのは時間と活力とチャンスを無駄にすることだ、とまで言っています。
同じ天才でもアインシュタイン博士は1日平均10時間の睡眠を必要とし、睡眠中は寝室に鍵をかけて、誰にも邪魔されないようにしました。
自分の睡眠時間が少ないのか?、多すぎるのか?その質は?改善点はある?これらは自分自身で答えを見つけるしかなさそうです。
ワシントン州立大学睡眠・行動研究センターのグレゴリー・ベレンキー博士のチームが発表した睡眠不足と不眠症に関する総合的な研究によると、実験の参加者をそれぞれ睡眠時間が3時間、5時間、7時間、9時間の4つのグループに分け、日々の疲労度や軽作業時の機敏さなどいくつかの項目をチェックした結果、毎晩3~5時間しか眠っていなかった参加者において特に疲労感が強く、注意力が散漫だったことが分かりました。
注目すべきは7時間睡眠の参加者において、疲労に対する自覚症状が無いにも拘わらず、注意力の大幅な低下が見られたことです。
しかも、悪いことに身体は元気なので脳の活動が低下していることに本人は気付きません。
マイクロスリープ現象
ベレンスキー博士によると、わずか2~3日でも睡眠時間が7時間以下になると、脳の活動が不活発になることが分かっています。
睡眠不足になると、本人が気づかないまま脳が数秒間居眠りすることがあります。”マイクロスリープ”と言われる現象ですが、なんと脳が眠り込んでいる時でも両目は開いています。これはいつでも起こり得るということです。
読書中に起きれば突然最後の文章が意識から抜けてしまいますし、人と会話している最中であれば話の一部が分からなくなります。
マイクロスリープはほんの数秒間の出来事ですが、車の運転中に起きれば大変なことになります。
ところが、睡眠不足と同じように、眠り過ぎもマイナス効果が大きいことが別の様々な大規模調査で明らかになっています。
それによると、毎晩9時間以上眠る人は糖尿病、肥満、頭痛、癌、心臓病などを引き起こしやすく、さらに過眠症になりやすいようです。過眠症になるとベッドからなかなか起き上がれず、日中も猛烈な眠気に襲われ、昼寝をしても気分がスッキリしません。
つまり、寝不足と同じ状態を引き起こす可能性があるのです。結局、昔から言われるように普通の人には8時間くらいの睡眠がベストなのかもしれません。
自分に最適な睡眠時間を知る
幸いなことに自分に最適な睡眠時間を知る方法はいくつか開発されていますが、そのうち最も簡単なものを2つご紹介します。
まず、自分が毎朝目を覚ましたい時間を決めます。それより早く目を覚ます可能性が低く、週日、休日を問わず目を覚まして大丈夫な時間を選んでください。
次に、自分が選んだ時間には嫌でも毎日起きるようにしてください。
そして、毎晩自分が本当に眠くなった時にベッドに入るようにします。無理に眠ろうとせず、眠くなるのを待ちます。
これを2週間続けると身体はあなたが選んだ起床時間を学習すると同時に、必要な睡眠がとれるように夜に感じる眠気の度合いを調整してくれるでしょう。
もう一つの方法は少し手間がかかりますが、「自由継続」と呼ばれる方法です。睡眠のために空けられる時間を1週間ほど選ぶ必要があるので仕事のない休暇中に実践してみて下さい。
目覚まし時計をオフにして、いつも眠る時間にベッドに入ったら、好きなだけ何時間でも眠ります。
数日間そのように眠り、それまでの睡眠不足が解消されたら、毎日大体同じ時刻に起きるようにします。あなたが眠りについてから起きるまでの時間があなたが日々必要とする睡眠時間になります。
脳を最高の状態に保つには時間と手間がかかります。脳細胞は絶えず有毒な老廃物を生み出しているのです。もちろ重要な生命活動を維持するための結果なのですが、この老廃物を放置すると、私たちの思考、行動、気分に様々な悪影響があります。
脳内では定期的に洗浄作用のある脳脊髄液(CSF)を分泌してゴミを洗い流し、解毒の器官である肝臓に送り込むのですが、良質の睡眠はこの洗浄プロセスの円滑化に重要な役割を果たしているのです。
安眠に必要なことは何でしょう。暗闇、室温、騒音対策……etc。眠りに就いた後も私たちの無意識はまだ活動を止めず、危険を知らせる物音を聞き取り続けます。睡眠中の男女はそれぞれ違う物音に敏感に反応します。
研究結果によると女性は赤ちゃんの泣き声、水滴が滴る音、争う音に強く反応し、男性は車のクラクション、強風の音、虫の羽音などに敏感な傾向があります。
例えばあなたが幹線道路や電車が頻繁に往来する線路の近く、飛行機が定期的に上空を通過する場所に住んでいたとしても救いの道はあります。
ホワイトノイズに安眠効果
ホワイトノイズ(註:あらゆる周波数成分を同等に含む雑音。
ホワイトノイズという名前は、私たちが耳にする音のすべての周波数を含んでいることに由来します。
身近な例で言うとラジオで好みの局を探す合間に聞こえる音や雨の音etc。
ホワイトノイズを流せばこれらの騒音はかき消され、安眠に有効であることが分かっています。
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